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スピネット

ヴァージナル等、スピネットは、弦をはじいて音を鳴らす構造をもち、その弦は鍵盤に向かって斜めに走っています。大型のチェンバロと同じアクションで、レジスターが8’のみになっており、軽く、サイズが小さいので運搬も簡単です。
ザスマン社で一番小さなスピネットはわずか6.5キログラムです。これはペトリッチによるオリジナル・ポリゴナルに倣っています。音色はたっぷりとして力強く、木製ケースに入れれば運搬もできます。

次のサイズがザスマン社デザインのスピネットモデル0.1と0.2で、ご家庭での音楽やアンサンブルを楽しむのに最適の楽器です。音域が広がり、リュートストップもついています。
音楽全般に適していてコンサートにも使えるのがトマス・ヒッチコック(1710)のスピネットモデル0.6です。楽器は、シンプルかつクラシカルな台の上に載っており、音域は5オクターブ、音は豊かで暗く、伸びがあります。
クーシェ(1650)のミュゼラーは古いヴァージナルの音を聴かせます。音域はE/C-c3のショート・オクターブ。
自然な音の広がりがフィッツウィリアム・ヴァージナルブック(1564-1625)の音楽をいきいきとよみがえらせます。

 

一段鍵盤チェンバロ

一段チェンバロは「大きなスピネット」ではありません。これは後ろから前へと弦が張られた新しい楽器で、少なくとも二つのレジスターをもち、単独でも二つでも使用できるようになっています。

楽曲には、その作曲年代にふさわしい楽器があります。たとえば、イタリアン・チェンバロ(モデル1.4、1.7)はルネッサンスやバロック初期の音楽にぴったりです。素材はイトスギで、クリアでブリリアントな響きをもっています。フランドル・チェンバロはそれとはまったく異なっており、モデル1.5や1.6は、ルッカースやメルマンの時代に典型的なタイプです。スウェーリンク作品の演奏は、他のチェンバロでは考えられません。この楽器は非常に軽量 ですが、安定性が高いので、飛行機や自動車で移動しても調律が狂うことがありません。ザスマン社では8’や4’の代わりに2×8フィートを推奨していますが、これは音質の上でも、調律の持ちでも後者が勝っており、多彩 な音楽を作ることができるからです。

二段鍵盤チェンバロ

二段鍵盤チェンバロはレジストレーションの変化に富んでいるので、コンサートにも適しています。二つの鍵盤は別 に使うことも、つないで使うこともできます。配置はどのモデルでも同じです(一般 は8’と4’、カプラーは上鍵盤を押しこみます)。二段目は8”で、リュートストップがついています。
フランドル・チェンバロは、明るいシンギング・トーンが特長で、フレンチは暗くエレガント、ジャーマンは色彩 豊かでいきいきとしており、力強い音をもちます。どの音色がよいかは、個人の好みや、選んだ曲によります。
二段鍵盤チェンバロは、サイズが大きいわりに軽く、運搬も容易です。この楽器は、アーティストが演奏時に求めるしなやかさや音色の条件を満たしています。

 

クラヴィコード

感傷主義時代に好まれた、単純で音量が少なく、しかし表現力のある楽器。当時の有名な作曲家(J. S. バッハやC. P. E. バッハ)は、作品の大部分をクラヴィコードのために書いています。初期の楽器は「ゲブンデン」式で、隣り合うキーが同じ弦を鳴らすようになっていました。18世紀半ばに作られた楽器は「ブントフライ」式で、音域は5オクターブに広がって、弦の数もそれぞれ2本ずつになりました。

鍵盤が押されると、タンジェントが下から弦を打ち、これが振動する二つの部分に分かれて、一方が弦振動を抑えます。ヴィブラート、いわゆる「ベーブング」は、鍵盤の押さえ方で変化させることができる。この魂をもつような楽器を使えば、高度な表現も可能です。

 

フォルテピアノ

18世紀に入ると、フォルテピアノが次第に広まりました。フォルテピアノのアクションは、従来より強く、また弱く弦を打つことができるハンマーをもつのが特徴で、それによって、音量 の面で可能性が広がってきました。こうして、繊細なピアニッシモから力のあるフォルテまで変化をつけられるようになったのです。ヨハン・アンドレアス・シュタインやゴットフリート・ジルバーマン初期の非常に軽いアクションは、優雅で、音楽的に無理のない、楽なスタイルの演奏を可能にしました。

5オクターブの音域は、ハイドンやモーツァルト、ベートーヴェン初期の音楽にぴったりです。鍵盤数が増えたのに伴って、アクション、弦張力や楽器の設計が変更されており、金属の支柱やフレームを使っての補強も必要になりました。こうして、モダンピアノの道が舗装されたのです。

ザスマンチェンバロ カタログ 


久喜ピアノ調律サービス